2009年9月21日月曜日

Beast From Haunted Cave(魔の谷)

 「断絶」、「コックファイター」のモンテ・ヘルマンデビュー作。1959年。製作はロッキー・ホラー・ショーでおなじみのロジャー・コーエン。有名な低予算映画のプロデューサーで今も現役。
 パブリック・ドメインらしく、http://www.archive.org/details/BeastFromHauntedCaveで本編をダウンロード可能。
 デビュー作ながら時間の使い方がうまい。昔の恐怖映画、特に低予算映画、はどうしても怪物がお粗末なものになりやすいので冒頭は怪物の全体は映さず、部分部分を小出しにすることによって恐怖心をあおり、そして最後にようやく全体を出した。ユニバーサルの怪物ものも、ハマーフィルムの怪物ものもそうだ。(そういう演出がもっともうまく、かつ発展的に応用したのがトビー・フーパーの「悪魔のいけにえ」だと思う。) そのような演出と同時に発生するのは、怪物が画面に出てこない間をどのようにつないでいくかということだ。「魔の谷」は犯罪でつないだ。怪物が人を襲うのと同時に、登場人物は金庫破りをする。
 この映画はどちらかというと怪物よりも人間ドラマに比重を置いている作りだ。前半30分は登場人物の関係と犯罪を描き、後半30分は犯罪後の人間関係、そして最後の10分で怪物をやっつける。怪物映画のはずが、完全に怪物は映画的予定調和の道具として利用され、70分という短い時間をまとめる。この怪物の扱いはかなり出色のものだろう。怪物映画はその呼称の示すとおりに、怪物に翻弄される人間たちを描くのが常だが、この映画において怪物は物語を終わらせる道具でしかない。
 映画は夜のシーンか部屋の中のシーンが圧倒的に多いが、夜のシーンの懐中電灯で一部分だけを照らすジャック・ターナーのような演出が効果的だった。初めの男が町の写真を撮っているシーンもフィルム・ノワールぽくてカッコ良かった。

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