俺が南大沢に帰ってきたのは、午後11時50分だった。調布市の花火大会があった所為か、人の波はいつものそれよりは多く、チラホラとゆかた姿の女性の姿も見えた。俺はというとお茶の水でバンドの練習をした帰りであった。俺とSは多摩ニュータウン通りを歩いて、ESSOに併設しているドトールコーヒーに吸い込まれる。看板は明滅している。中には試験勉強中の学生で溢れかえっている。そんな学生達をみて全く焦らない心に、焦りを覚えた。
俺はアイスコーヒーを頼んで煙草に火をつける。
「女喰って女喰って女喰って、音楽って…最高…」とずっとつぶやいている。
Sはそんな俺に全く取り合わず、今日の練習の音源を無言で聞いている。
俺は煙草に火をつける。
そして奇妙に涼しい風を、触れずに思い出しながらフィッシュマンズのweather reportを想起する。
風が吹き続けて いつもここにいるよ
なにかいいことがなかったけなあ なにか