2010年4月1日木曜日

続き

ブルーハーブとshing02の登場により、日本語ラップはその奥行を増したわけです。早口で言葉を連射していれば日本語ラップになっていた時代は終わり、よりリリックやスタイル、フロウ、ライムが重視されるようになった。また、アンダーグラウンドとオーバーグラウンドの断絶もさらに深く成っていった。オーバーグラウンドではヒップホップはほとんどミクスチャーロックと同列に扱われ、例えばDragon Ashは1991年にZEEBRAとの共作で「Grateful Days」を発表する。そこで歌われるラップは、ヒップホップ文化から乖離したポップミュージックだ。例えばジブラのパートで彼は

俺は東京生まれHIP HOP育ち 悪そうな奴は大体友達
悪そうな奴と大体同じ 裏の道歩き見てきたこの街
渋谷 六本木 そう思春期も早々に これにぞっこんに
カバンなら置き放っしてきた高校に
マジ親に迷惑かけた本当に
だが時は経ち今じゃ雑誌のカヴァー

と歌っているが、ここで歌われているのは過去であり、リスナーもしくは歌い手の現実ではない。回想だ。
これに対してブルーハーブのstill stilling dreamingの感動的な8曲目「孤憤」でイル・ボスティーノは、

前にも言ったように俺達はこの場で,音と言葉で,そこにいるお前と話をしたいんだ
お前等じゃない,お前の仲間でも,お前の街でも札幌も東京もくそもない
お前一人で来いと言ったろ
お前だけの言葉で,音楽の話や,仲間の話,夢の話,俺達に話しかけてくれ
他人を期待して,不平不満ばっかり言うような奴等は俺達に触るな
腑抜けたラップを聴く暇があったら, 俺は真っ先にSIONを聴く

と歌っている。また、孤憤に続く、「coast 2 coast」では、


TOKYO,OSAKA,Big City Dream だが
そこまでだ 今、本命がエントリー 北から頂く
北から頂くSAPPORO,SAPPORO極東NO.1 BORO い
つも感謝してる同志達のサポート

目的はかわらないヴィナロード、雨にもまけず目にもの言わす
針先、ペン、P先の導き、何よりも先、信じる気になってはじめて千歳で降りろ
そして乗りおくれることなく、そこからさらに北にむかえ
一週間程じゃ一割もわからない、北だけが持つ奥行きの理由は
地下一階はほぼ全て間違いない、しらふでも言えるぜ、時代は
近いと本拠地、平岸シエラマエストラからノストラダムス並に裏の裏をよむ
ノースコースト・ラ・コーザノストラすぐに認めることになる
オレをBOSSとな


と歌っている。
アンダーグラウンドはアンダーグラウンドとしての意識をさらに強化した。
東京をオーバーグラウンドと見立てた上での北海道札幌市平岸はこのアルバムの中で物語の中心となる。
grateful daysにおける「かっこよさ」が現在成功しているzeebra自身ならば、tha blue herbのリリックの「かっこよさ」は共有によって立ち現れるものだ。bossは、想定したリスナーのためにリリックを書き、歌う。アンダーグラウンドでしかできない表現を意識的に取り入れたリリックをTBHは歌っている。おわり

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